アトピー性皮膚炎~~最新情報その1
アトピー性皮膚炎とは
今回は、当病院にいらっしゃる患者様の中でももっとも多い皮膚疾患のひとつ、
アトピー性皮膚炎の最新情報を紹介します。
長くなるので、4記事にわけて解説しますね!
Q1.アトピー性皮膚炎とは、どんな症状の出る病気ですか?
A1.アトピー性皮膚炎は、大きく分けて、
①乳幼児期から小児期に発生するタイプと、②成人型の2通りがあります。
成人型は、成人になって初めて症状が出る場合と、小児期のアトピー性皮膚炎が、期間をおいて再発した場合があります。
小児型でも成人型でも、共通していることは、
1)「かゆみ」がある
2)特徴的な皮膚症状
①急性病変:紅斑(赤くなる)、丘疹(ぼつぼつ)
落屑(皮が剥ける)、痂皮(かさぶた)
②慢性病変:浸潤性紅斑、苔癬化局面(皮膚が肥厚し硬くなる)、
痒疹(強いかゆみを伴う大型の丘疹。ぼつぼつ)、鱗屑、痂皮
3)分布
①左右対称性
②よく出るところ:肘窩(ひじの内側)、膝膕 (膝の裏側)、耳介(耳切れ)といった、診断上重要な部位以外にも、前額、眼囲、口囲、頸部、体幹、四肢と、ほぼ全身に生じ得ます。
4)慢性・反復性の経過:乳児で2ヶ月以上、その他では半年以上継続します。
5)全身の(毛穴が目立つ、鳥肌様の)乾燥皮膚
アトピー性皮膚炎と診断するには、これらの特徴的な症状から診断します。
Q2.「アトピー体質」という言葉を耳にしますが、どのような体質ですか?
A2.この体質には、二つの特徴があります。
1)皮膚が乾燥し、そのために外部からの刺激に弱い
(バリア機能の低下した)体質があって、アトピーでない人では無害な刺激でも湿疹を生じる原因になり得ると言うこと。
2)いろいろなものにアレルギーを起こし易い体質。
別な言葉で言うと、アレルギーの原因となる、免疫グロブリンのE(IgE)を産生しやすい体質であるということ。
アトピー体質の人は、他にも、喘息・アレルギー性鼻炎(花粉症)・アレルギー性結膜炎・蕁麻疹などの、アレルギー性の疾患を起こしやすい、あるいは、家族にこれらの疾患を持つ人が多いことが知られています。
Q3.アトピー性皮膚炎の血液検査では、どのようなことが分かりますか?
A3.アトピー性皮膚炎の免疫学的要因として、免疫グロブリンのE(=IgE)が関与している部分の検査は可能です。
IgEは血液検査で、その総量(IgE・RIST)と、アレルギーの原因になる、個々の物質に対するアレルギーの程度の程度(IgE・RAST)の測定が出来ます。
IgE・RASTから分かることは、食べたり飲んだり吸い込んだりして、体の内側からアレルギーを引き起こすものです。
当院では、RASTの項目36種類を1回の採血で検査できるView36を採用しています。
料金は3割負担の方で6,000円ほどてす。
検査できる項目は、以下の通りです。
吸入系その他のアレルゲン
- 室内塵:ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト
- 動物:ネコ皮屑、イヌ
- 皮屑
- 昆虫:蛾、ゴキブリ
- 樹木:スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカバ
- 草本類:カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ
- 空中真菌:アルテリア、アスペルギルス
- 真菌その他:カンジダ、マラセチア、ラテックス
食餌系アレルゲン
- 卵:卵白、オボムコイド(耐熱性蛋白質で卵アレルギーの原因物質。卵黄はほとんど原因にならない)
- 牛乳:ミルク
- 小麦:小麦
- 豆・殼・種実類:ピーナッツ、大豆、ソバ、ゴマ、米
- 甲殻類:エビ、カニ
- 果物:キウイ、リンゴ
- 魚・肉類:マグロ、サケ、サバ、牛肉、鶏肉
なお、この検査で、アレルギーの全てが分かる訳ではありません。
症状は酷いのに、検査では異常が見つからない人がいる場合もあれば、
例えば花粉でクラス5の強陽性なのに、花粉症の経験が無い人、犬・ネコとの接触が全くないのに陽性の値が出る人などもいます。
RAST検査も万能ではありません。一応の目安として、考えられるとよろしいかと思います。
東豊ひふ科 院長 木造敬
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